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ソ連・ポーランドの国境。
レニングラード急行はゆっくりと動き出し、やがて辺りに何もないソ連とポーランドの国境地帯で停車します。ここで、ポーランドの入国手続きが行われます。ポーランドも通貨管理が厳しいと聞いていたので、税関検査が大変だろうと覚悟していました。しかし、パスポートチェック(通過ヴィザ)や荷物検査だけで終わってしまいました。強制両替もありませんでした。検査官はコンパートメント内をはじめ、列車の屋根の上に昇ったり、車両の下に入ったりして調べています。ちょっとした緊張感が漂っています。 |
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ポーランド通過ヴィザと入国スタンプ。
列車での入国を表しているのでしょうか、ポーランド側の国境の駅(Kuznica:読めないのでそのまま表記)の文字と列車の絵の付いたスタンプ(右)がパスポートに押されました。ベルリンの壁崩壊後、事前情報に比べるとソ連や東欧圏各国の入出国検査が緩和されてききたような感じがします。 |
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全ての検査が終わると列車は再びゆっくりと動きだし、ポーランド側の国境の駅(Kuznica)に向かいます。しかし、依然軌道間(線路の幅)はソ連と同じですので台車を交換する必要があります。ソ連とヨーロッパ諸国の軌道間の違いは、ソ連側の軍事的な目的からそのようにされたのですが、本当に厄介なものだと思います。 |
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ソ連の軌道間は1,524mmですので、ヨーロッパ標準軌間(1,435mm)に合わせるために列車の台車を交換しなければなりません。乗客を乗せたまま列車は引き込み線(車庫)に入り、ここで1両ずつ切り離してそれぞれをジャッキ(青色の機械)で持ち上げ下の台車を交換します。レニングラード急行は客車だけでも10両ありますので大作業です。作業時間もかかります。ほとんどの乗客は列車の中にいましたが、同室の彼が街を案内してくれると言うので、ここ(車庫)で車両から降りることにしました。列車にはKuznicaの駅で直接乗れるので大丈夫とのことです。 |
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ポーランド側の国境の駅(Kuznica)。
時刻表で見ると、この国境通過に要する時間は約4時間です。台車の交換だけでも2時間位はかかります。先に駅に着いてしまった私たちは、駅の食堂で夕食をとることにしましたが、私はポーランドのお金を持っていない上に駅の両替所も閉まっていましたので、また彼にごちそうになってしまいました。食事に使うフォーク・ナイフ・スプーンに対してdepositが取られます。ポーランドでは、これらは貴重品であるために盗む人が多くいるからだそうです。 |