リベンジ・北海道紀行―6―


北海道最終日。本日、夜の11時30分、小樽を出るフェリーに乗ります。

例によって6時起床。テレビを見ながらおにぎりを頬張ってると、北広島市で自衛隊の訓練機が民間施設を誤爆したというニュースを見てびっくり。私が北広島市を通過したのは、事件のあった日の夕方近くやったから、事故発生時間の昼間通ったらエライ渋滞とかに巻き込まれたんやろうとか思う。それで、昨日のヘリコプターがやたら飛んでたのも納得できるわなぁとか思いつつ、まぁ、犠牲者が出なかったのが幸いよとか、北海道って自衛隊の訓練地域が一杯あるねんなぁとか、そんなことを改めて思う。こういう肌感覚ってのは文字とか映像とかでは得られない、実際にそこにいてこそ感じられるもののほうが肥やしになるような気がすること多くて、そういう経験値を上げる意味でも、一人で知らない土地をフラフラするのは、私にとって貴重な時間だと思います。

さて、7時、札幌市街から国道230号線を走る。目指すは蝦夷富士こと羊蹄山。羊蹄山は火山の噴火により形成された山で、見た目が富士山そっくりでした。麓には温泉と名水の湧水地が点在してます。地下水脈から複雑な地層を経て湧き出る水はミネラルに富んでいて、実に美味しいです。立ち寄った湧水地は公園も兼ねていて、売店では水を持ち帰るための空のペットボトルとか大型ポリ容器も売ってます。私はちょうど空になったお茶の入ってたペットボトルに水を汲みましたが、汲みたての水はすんごい冷たくて美味しい。

公園の敷地内に展望台があったので、登ってみたらエライ目に遭いました(笑)。多少の階段とか坂とはあって当然とか思ってましたが、私の予想を遙かに超える道のりと勾配が続いてましたよ、ええ。途中で引き返そうかと思ったけど、それも悔しいので登り切ってみた。木製の展望台から眺める風景は絶品やけど……でもなぁ、ここまで登んのは正直きつかったです。展望台のテーブルとか柱とかベンチに「世露死苦」テイスト漂う落書きが一杯あって、こんなんを残すのは犬が出先でオシッコを引っかけるのと同じかなぁ、それやったら本能やんなぁとか思う。

羊蹄山から洞爺湖へ。洞爺湖の近くにある有珠山が2年前に噴火して、一時は立ち入りが厳しく制限されてましたが、今では多少道路工事中の場所があるものの、苦労せずに洞爺湖温泉街まで行けるし、洞爺湖周遊道路も走れます。湖畔で休憩していた時、地元のおじいちゃんに声をかけられる。鯉釣りのために撒き餌してる最中だそうな。大阪から一人で来たと言ったら褒められた。しかもお嬢ちゃん扱い(笑)。因みにこのおじいさんは昭和20年頃、昭和新山の噴火をリアルタイムで見たことがあって、地面の隆起により移動を余儀なくされた鉄道の再敷設工事に徴収されたとのこと。そら、この人から見たら私なんか洟垂れやんなぁとか思ったり。

その後、「有珠山噴火ラーメン」という張り紙に釣られてあるラーメン店で昼食。中噴火ラーメン(劇辛)を注文。因みに汁までキレイに残さずに食べきったら褒めてもらえる大噴火ラーメン(激激辛)ラーメンもあります。この辺に火山と温泉と共に暮らしてきた人達のたくましさを感じました。

洞爺湖周遊道路から昭和新山へ向かう。身も蓋もない言い方をしてみますと、昭和新山は教科書の写真と同じでした。山肌からは未だに水蒸気が登っていて、自身が活火山であるという主張が強く感じられます。硫黄の臭いは殆どしませんでした。

さて、昭和新山からは国道453号線を走り、大滝経由で国道230号線を通って支笏湖へ向かう……筈が、ドエライ落とし穴にはまる。

昭和新山から支笏湖への道のりは、時間にして1〜2時間というところ。特に複雑な交差点もない。なのに、いつまで経っても支笏湖に辿り着けないという、狐に化かされたような体験をしました。とにかく向かう方向、曲がる交差点をことごとく間違ったらしく、明後日の方向に向かっているばかりで途方に暮れることしきり。

北海道の国道、特に市街地から離れた区域は殆ど信号もない、分岐もない状態で、重度の方向音痴の司書でも余り問題はないんですが、実はそれだけに道を間違ったことにしばらく気づけないという……(苦笑)。方向指示の看板も当然、交差点付近にしかないですから、一回道に迷うとエライ目に遭うんですな。まるで高速道路で道を間違えた時のようです。

何回も人に道を尋ねて、地図で確認して、交差点とか分岐とか確認して走ってるのに、何故か振り出しに戻る……!! これが狐に化かされるってことかい!! とか思いつつ、こんなんやったら今晩の支笏湖に行くどころか、フェリーに乗れるかどうかもわからへんやんかぁ……と悲痛な気分に陥ったり。マジでもうアカンと思いました。けど、何の拍子か全然わかりませんが、ひょいと支笏湖方面の看板と遭遇しまして、無事に……まぁ、予定到着時刻より2時間ほど遅れて支笏湖畔に着く。へとへとになってイカゲソの焼いたんとソフトクリームと芋団子で鋭気を養う。それから湖畔を散歩したりして、支笏湖を出発。

支笏湖から千歳方面に向かい、千歳I.C.から北海道自動車道経由で小樽に直行。この時が北海道旅行で初めての高速道路の利用です。何故かってーと、夕方の混む札幌市内を通過するのが嫌やから(笑)。

小樽のファミレで夕食。和風ハンバーグセットのサラダバーつきのをオーダー。隣のテーブルには白人様のご一行様。何気なく会話に耳を傾けてると、どうも英語ではない様子で、よくよく聞いてみるとロシア語らしい……。英語でも日本語でもない発音があって、小樽はロシア方面へ向かうフェリーも出てるのし、街のあちこちにロシア語を見かけるので、多分そうやろうと思っただけやけど。

それからフェリーターミナルに車を止めて、近くのコンビニでパンとかおにぎりとかお茶とかを適当に買う。

駐車場に戻ると、見送りに来てくれたミツグさんと再会。でもって、カラオケに行く。特撮中心の選曲をしていると、一定以上昔の作品だと当時の映像がモニタに映るのがわかり、とりあえず懐かしのアニメとか特撮とかをセレクトしまくる。懐かしさを満喫。それからフェリーターミナルで乗船時間までおしゃべりしました。

乗船後は風呂に入ってすぐに寝る。

翌日は寝たり起きたり本を読んだり寝たりおやつ食べたり寝たりと、極めて怠惰に過ごす。

敦賀到着は午後8時。中国自動車道を使って帰宅。自宅到着は午後11時30分。

総走行距離は怒濤の2000キロ強。よう走りました。愛車ビストロも、軽自動車にしては頑張ってくれました。

翌日は羊蹄山の展望台に登ったのと、ここ数日の運転が原因と見られる左右の脹ら脛だけという、極めて局部的な筋肉痛に悩まされました。家に帰って気が抜けた途端、コレや(笑)。


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