R.シューマンの言葉(2)

ここではローベルト・シューマンが書き記した「音楽の座右銘」より
貴重なアドヴァイスをいくつか抜粋で紹介させていただきます。
こどもたちへのメッセージですが、大人にも多くのことが共通です。


 
21)あなたの楽器を愛しなさい。けれども虚栄心から、それが最高の、唯一のものと
   思い込んではいけません。まだほかにも同じくらい美しい楽器があることを考え
   なさい。それから歌手がいるということも、合唱とオーケストラの中で音楽の
   最高のものが表現されるということも考えなさい。
 

22)優れた巨匠のフーガを、とりわけJ.S.バッハのフーガを熱心に弾きなさい。
   「平均律クラヴィーア曲集」を日々の糧とするように。
   そうすればきっと、あなたは立派な音楽家になれるでしょう。
 

23)仲間のうちで、あなたよりもっと多くを知っている人を探しなさい。
 

24)せっせと詩人の本を読んで、音楽の勉強の疲れをいやしなさい。
   また時々戸外を散歩するように!
 

25)山の向こうにも人が住んでいます。つつましくなりなさい!あなたはまだ、
   他の人々があなた以前に考えたり発見したこと以外に、なにひとつ考えたり発見
   したりしていないのです。そしてあなたがもしそれを得たなら、天からの贈物と
   思って、他の人々にも分けてあげなさい。
 

26)音楽の歴史の勉強は、様々の時代の傑作をたくさん聴くことに支えられて、
   うぬぼれと虚栄心を一番早くなおしてくれるでしょう。
 

27)教会のそばを通りかかって、中でオルガンを弾いているのが聴こえたら、入って
   いって耳を傾けなさい。
 

28)オルガンを練習する機会を逃さないようになさい。楽曲や演奏の中の不純なものや
   粗野なものに対して、オルガンほどすぐに復讐する楽器はないでしょう。
 

29)合唱に参加して熱心に歌いなさい。とくに中声部を歌いなさい。
   それがあなたを音楽的にしてくれます。
 

30)ではいったい音楽的とはなんでしょう?もしあなたが両眼を心配そうに楽譜に向け、
   その曲を終わりまで弾くようでは、音楽的とは言えません。またもし(誰かが一度
   に2ページめくったりした時)、立往生して先へ進めないようでは、あなたは音楽的
   ではありません。しかし、新しい曲であれば、これからどうなるかをおおよそ予感
   し、前から知っている曲ならば暗記している・・・一言で言えば、指だけでなく、
   頭と心の中にも音楽を持っている・・・ならば、あなたは音楽的です。
 

31)でもどうすれば音楽的になれるでしょう?愛し子よ、肝心のもの、つまり敏感な耳と
   素早い理解力は、あらゆるものと同様に天からくるのです。とはいえ、与えられた
   ものを育て、高めるのは自分です。1日中隠者のように閉じこもって、機械的な勉強 
   ばかりしていないで、はつらつとした多方面にわたる音楽的交際を獲得し、とくに
   合唱団やオーケストラの人々と、始終つきあってこそ、音楽的になれるのです。
 

32)子供の時から、人の声の4つの主なパートの音域をはっきりさせておきなさい。
   とくに合唱の中でそれらに耳を澄まし、どの音程にその最高の力があるか、また
   どの音程でか細くなるかを研究しておきなさい。
 

33)あらゆる民謡を熱心に聴きなさい。それらは美しい旋律の宝庫でもありますし、
   またあなたがたに、様々な国の国民性を垣間見せてくれます。
 

34)こどもの頃から古い音部記号で読む訓練をしておきなさい。
   さもないと過去の宝をむざむざと失うことになります。
 

35)早くから、いろいろな楽器の音と特徴に注意深くなりなさい。
   それらの固有の音色をあなたの耳に刻みつけるようにしなさい。
 

36)よいオペラを聴く機会を逃さないように!!
 

37)古いものを尊びなさい。けれども、新しいものにも暖かい心で接しなさい。
   知らない名前に対して、先入観を持ってはいけません。
 

38)はじめて聴いただけで、作品に判断をくだしてはいけません。
   ひと目で気に入ったものが、必ずしも最良のものとは限りません。
   大家は常に、わたくしたちの研究心をかき立てるものです。
   非常に年をとってみてはじめてわかることだってたくさんあるでしょう。
 

39)作品を批判する場合には、それが芸術そのものに属するものか、それとも単に、
   愛好家の娯楽を目的としているのかを区別しなければなりません。
   第1の種類には味方すること、そして第2の種類に対しては腹を立てないこと!
 

40)ピアノに託して小さな旋律をまとめあげるのなら、もちろんそれも結構です。
   でもピアノなしに、自分自身の中から旋律がわき出てきたら、そのときはもっと
   喜びなさい。あなたの中に「歌ごころ」が生まれたのです。
   指は、頭が望むことをしなければならないわけで、その反対はいけません!!