R.シューマンの言葉(1)

ここではローベルト・シューマンが書き記した「音楽の座右銘」より
貴重なアドヴァイスをいくつか抜粋で紹介させていただきます。
本当はこどもたちへのメッセージなのですが、恐らく多くの言葉が
大人に対しても共通して意味を持つものではないかと思います。


 
1)耳を養うことが、いちばん大切です。早くから調性と音を知るように心掛けなさい。
  鐘、窓ガラス、かっこう・・・それらがどんな音をだしているかを聞きわけなさい。
 

2)音階とかそのほか指の練習曲を、勤勉に弾くべきです。しかし、それで全てを
  なしとげたと思い、年をとるまでくる日もくる日も多くの時間を機械的な練習に
  費やしている人が大勢います。それではまるで、毎日ABCをできるだけ速く言える
  ように苦労している人と変わりありません。もっとましなことに時間を使いなさい。
 

3)拍子どおりに弾きなさい!多くの名演奏家の弾き方は、まるで酔っぱらいが歩いている
  ようです。くれぐれも、そのような人々を手本にしないでください。
 

4)むやみにがむしゃらに弾かないように!いつも生き生きと演奏しなさい。
  そして曲の途中でやめないように。
 

5)ぐずぐずするのも、せかせかするのも、同じくらい大きな誤りです。
 

6)やさしい曲を、上手に、美しく弾くように努力しなさい。
  難しい曲をいい加減に弾くよりはずっとましです。
 

7)たとえ貧弱な声しか出せなくても、ぜひ、楽器の助けを借りずに、譜面を見て歌える
  ように努めなさい。そうすることによって耳がますます鋭敏になるでしょう。
 

8)紙の上で音楽を理解できるようにならなければいけません。
 

9)いつでも、巨匠が聴いていると思って弾きなさい。
 

10)誰かがあなたに、ある楽曲をはじめて見せたら、まず全曲に目を通してから演奏
   することです。
 

11)1日の音楽の日課を終えて疲れを感じたら、もうそれ以上は無理をしないように。
   喜びも生気もなしに働くよりは、休息するほうがましです。
 

12)あらゆる見せかけのものは、時代とともに移り変わってしまいます。
   技巧は、それがより高い目的に奉仕するところでだけ価値をもつのです。
 

13)熟達しても、いわゆる華麗さを求めてはなりません。ある曲を弾く時は、
   作曲家が心に抱いていた印象を追求しなさい。それ以上のことはいけません。
 

14)優れた作曲家の作品の中の、どこかを変えたり、削除したり、新たな流行の装飾を
   添加したりするのは厭わしいことと考えなさい。
   それは芸術に対する最大の侮辱です。
 

15)勉強する曲を選ぶ時は、年長者にたずねなさい。
   それによって多くの時間を節約することができます。
 

16)いわゆる名演奏家が喝采を受けのを見て、惑わされないようにしなさい。
   大衆の喝采よりも芸術家の喝采の方が、あなたにとって、いっそう多くの価値を
   持ちますように・・・
 

17)どんな流行も、やがては時代遅れになるでしょう。そして年寄りになるまでそれを
   追っていると、だれにも尊敬されないばか者になってしまうでしょう。
 

18)始終、社交の場で演奏することは、利益になるよりも害になります。
   人前に出るのはよろしい。がしかし、自分の心の中で恥じなければならないような
   演奏は絶対にしないこと。
 

19)二重奏、三重奏など、他の人と一緒に演奏することのできる機会を逃さないように。
   それはあなたの演奏を流暢に、活発にしてくれます。
   時々、歌い手の伴奏もやりなさい。
 

20)もしみんなが第一ヴァイオリンを弾きたがったら、オーケストラはまとまらなく
   なってしまうでしょう。ですから、それぞれの持ち場にいる演奏家を尊敬しなさい。