オマケ


『ピカチュウ事件』に対する守護聖様の対策とその傾向

 ジュリアス様はご自分の髪と同じ金色のピカチュウをいたくお気に召されたご様子で、多数いる金のピカチュウの中から特に整った顔立ちのものを選び、日々慈しんでおられます。けれどピカチュウはジュリアス様と気が合わないのか、ジュリアス様が触れようとする度に電気ショックをお見舞いするのでした。ジュリアス様はかなりプライドを傷つけられましたが、ピカチュウの愛らしさはそれさえも忘れさせるものだったようです。

 クラヴィス様は『ピカチュウ事件』以来、睡眠不足が続いています。やたら発光するピカチュウのためによく眠れないクラヴィス様は、毎日ご自分の執務室からピカチュウを追い払うのですが、静かで暗くてあまり人の訪れないクラヴィス様の執務室は彼らのお気に入りの場所になってしまい、追い払っても追い払ってもいつの間にか侵入されてしまうのでした。ですから最近のクラヴィス様の一日は、絶縁仕様のゴム手袋をつけて、ピカチュウを執務室から放り出すことから始まります。

 ランディ様はオスカー様のお手伝いで、ピカチュウ殲滅作戦に参加しました。抜群の運動神経を誇るランディ様も、ピカチュウの電気攻撃にはかなわないと見え、しょっちゅう感電しています。電気ショックのためなのか、最近髪が伸びる速度が早くなってしまったとか。毎週1度散髪をしてもらいますが、あまりにも早く伸びる髪をいつも気にしてらっしゃいます。

 リュミエール様は大変お優しい方なので、ご自分の手でピカチュウを追い出すことはできません。ですから光に集まる昆虫をたくさん集めて部屋に放しました。虫たちはピカチュウの光る様子を見ると、我先にピカチュウに群がります。それはピカチュウにとって不愉快極まりないことだったようで、やがてリュミエール様のお部屋に足を足を踏み入れようとするピカチュウは1匹もいなくなりました。

 オスカー様はジュリアス様の命令で、聖地に異常発生したピカチュウの殲滅に乗り出し、大変な活躍をしました。余りにも多くのピカチュウの処理をしたものですから、オスカー様の髪はピカチュウの電気攻撃のために逆立ってしまったのです。この髪型はそれまでのお召し物には合いませんし、鎧をアレンジした正装は電気を非常によく通すので、次の正装は王立派遣軍の軍服をアレンジしたものにお決めになりました。

 マルセル様は小動物が大変お好きなのですから、ピカチュウも大好きです。お部屋にはいつも十数匹のピカチュウが遊びに来ています。ピカチュウも優しいマルセル様が大好きで、よくみんなでピカチュウ言葉でお話をしているそうです。

 オリヴィエ様は『ピカチュウ事件』をおもしろそうに眺めておられます。香水などの匂いのするオリヴィエ様の執務室に入るピカチュウは殆どいません。でもお洒落なピカチュウが1匹、住み着いているようです。オリヴィエ様は交換条件を出して、ピカチュウがお部屋にいるのを認めました。それはオリヴィエ様が入浴する時、一緒に浴槽に入ることです。ですからオリヴィエ様は美容と健康に効果のある電気風呂を、毎日楽しめるようになりました。

 ルヴァ様はピカチュウの増殖に興味津々で、さっそく研究用にピカチュウを捕まえました。モルモットになることに抵抗したピカチュウから何度も電気攻撃を受けるのですが、ご本人はあまり気にしておられません。毎日毎日、不用意に素手でピカチュウに触れるものですから、ルヴァ様の執務室からは「あ〜れ〜」といった悲鳴が一日に何度も聞こえてきます。


戯れに書いたゼフェルとピカチュウのお話です。
書いたものの、長く死蔵したままにしていたのを引っ張り出したのですが、
今見ても守護聖はひどい言われようだと思いました。


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